チョコレート嚢胞・卵管水腫の腹腔鏡下手術記録

チョコレート嚢胞と卵管水腫の腹腔鏡下手術についての明るい記録です。入院の話は8話からです。手術本番は9話です。コメント大歓迎。

チョコレート嚢胞・卵管水腫の腹腔鏡下手術記録9(入院2日目・手術当日)

第1 これまでのお話

 チョコレート嚢胞により、右側の卵巣が9センチメートル、左側が5センチメートルに腫れたため、大病院のC病院に入院し、腹腔鏡下手術を受けることになりました。

 今回は、入院2日目・手術当日の内容になります。

 長くなりますが、お付き合いいただけますと幸いです。

 

第2 いよいよ腹腔鏡下手術

1 手術に向けての準備

 午前6時に起床。

 手術中に便が出ることを防ぐため、浣腸をしてもらいました。わー、浣腸なんて、記憶のある限り、他人にされたことないや。

 もはや、なされるがままである。

 午前9時に入室、午前10時から手術ということで、夫が午前8時過ぎに現れました。

 手術については、私が何かをするわけではないので、気楽なものです。腕のいい(らしい)医師よ、頼んだよ。

 

2 手術本番! 

 午前9時に、手術着(浴衣みたいな物)を着て、血栓予防の靴下を履き、歩いて手術室に向かう。手術室の銀色の大きな自動扉の前で、夫とは、お別れ。いよいよ!

 夫に「よろしく~」と言って、入室。それ以上の言葉を言うことは、なぜか出来ませんでした。

 夫も、「頑張って~」とゆる~い返答。

 私は、何をよろしく願い、何を頑張ればいいのか分からないけれど、それ以外に言うべき言葉は、胸でつっかえていました。

 ただ、他方で、面白くなってきたぞ、と自らを鼓舞しました。

 「不屈の女戦士」との異名を持つ私です。

 手術室は、私以外にも3~4人の患者がいました。最年少の私は、座る場所もなく、所在なく立って待つことに。

 全てが銀色で光っており、月並みな表現ですが、宇宙船のようです。さすが、卵巣内に巣くうエイリアン退治の場所だけある。

 沢山の白衣を着た人がいて、誰が誰だか分からないけれど、たぶん、麻酔医と看護師の方々だと思います。

 名前を呼ばれ、手術台に寝転び、真っ裸になり、沢山の機器を装着しました。

 左手の甲に大きな注射針を刺され、何か分からない液体を入れる準備は完了。

 人生初の酸素マスクを装着されたときに、麻酔医から、「緊張していますね」と言われ、思わず失笑しました。さすがの私も心拍数が爆上がりです。

 ただ、心拍数が上がろうが、下がろうが、笑っていようが泣いていようが、もはやここまできたら、何も出来ないのです。とにかく、テキパキと儀式は進む。他人事のようでした。ことわざ通り、「まな板の鯉」です。

 麻酔医から「今から全身麻酔をはじめますね。」と言われ、その瞬間に身体の中心から放射状に細かい痺れが走り、真っ暗になりました。「はい」という返事すら出来ないのね。

 

f:id:momotarson:20190615110848p:plain

  

 突然、私の名前を大きな声で呼ばれ、目が覚めました。

 ただ、残念ながら、名前を呼ばれた後の記憶は、まだらです。

 夫の話では、ベッドに載せられて、手術室から病室まで運ばれる間、夫が私に手を振っており、その動作に私が気付いている素振りはしていたみたいです。

 他方で、私は、気付けば病室にいて、酸素マスクを装着されたことぐらいしか記憶に残っていません。つまり、手術室から病室までの記憶が欠落しています。夫が私に手を振ったことも覚えていません。

 手術時間は、予定よりも早く、1時間弱でした。

 右側の卵巣のチョコレート嚢胞は破けてしまっていたそうです。左側の卵巣については、卵管が水腫で「使い物にならず」、捻転を起こす可能性もあったので、卵管のみを摘出したとのことでした。しかし、担当医師が、患者に対して、「使い物にならない」と正直に言う精神がすごい。使い物にならなかったのかもしれないけれど、私にとっては、大事な卵管だったのだから、もう少し他の言い方がありそうね。

 私が全身麻酔で眠っている間に、夫が担当医に呼ばれ、私の摘出された卵管を見せられて手術の説明を受けたとのことでした。突然のことで、さぞかし驚いたんだろうな、と同情します。

 私は、不謹慎ながら、摘出した卵管を食べてみたいなぁ、それが無理でも、見てはみたいな、と思っていたので残念。私の卵管は、どこに行ったのか知らないけれど、然るべき手続きを経て廃棄されたんだろうな。卵管さん、お疲れ様でした。そして、捻転を起こさずにいてくれて、本当にありがとう。

 

3 手術なんて、終わってしまえば、なんてことはない

 ただ、ひたすら、暑いです。身体が発熱しているためだと思います。

 そのうえ、酸素マスクまでつけられているので、息苦しい。2時間は着けないといけない、と看護師さんが言うので我慢。1分1秒がとにかく長く感じました。

 寝返りも出来ないし、ひたすら天井を見ていても全く時間が過ぎないので、見かねた夫がテレビをつけてくれました。少し、病室の空気が良くなった気がしました。個室なので、音を気にしなくて良いのは助かりました。

 暑い、暑いと騒ぐので、看護師が氷枕を持ってきてくれました。なんとか、体内にこもった熱を放出したい。

 両足の先には、血栓予防の機械が装着されていいます。「ブーン・ブーン」とエアバックみたいなのが、膨らんだりしぼんだりしています。また、尿道には、カテーテルが挿入されています。要するに、身動きが全くとれない。

 極めつけには、左手の甲にぶっ刺さる点滴。24時間点滴です。

 とりあえず、吐き気止めと痛み止めを点滴に加えてもらい、その場を耐える。

 お腹を膨らますガスを使用したので、肋骨のあたりが痛むのです。

 吐き気?よく分からないけれど、胃にも空気が溜まっている感覚がしました。

 本日は、絶食。食欲も無いので、これは問題なし。

 水分が摂れないことは大変。というのも、全身麻酔のときに、のどに管を通しているので、なんだか喉がイガイガするのです。

 咳やくしゃみはお腹にひびくー。

 

4 手術当日の夜について

 さすがに夜は、眠れなったなぁ。暑いし、痛いし。

 親切とは言い難い病院で、看護師に「寝返りが打てなくて腰が痛い」と言っても、ほとんど介助してもらえない。看護師は、「自分で膝を立てて横を向いてください」と言うが、そんなこと、出来やしないよ。

 ただ、1人だけ、ベテランの親切な夜勤の看護師さんがいて、「痛くて眠れないんだね。痛み止め打つね。」と言って痛み止め打ってくれました(痛ければ、痛み止めを打ってもらえると教えてもらっていなかったのです。)。

 他にも、そのベテラン看護師さんは、私の腰が痛いことを気づき、横に向くことを助けてくれました。彼女がいなければ、本当に辛い夜となったと思う。おかげ様で、1時間くらいは、眠ることが出来ました。

 不親切な看護師については、労働条件が悪くて不満が溜まっているんだろうな、と思うと、何も言えないものです。彼女たちには、彼女たちの言い分があるだろうし。

 もし、会って話せるとしても、少なくとも健康になった今は、「大変な仕事ですね。本当にありがとうございます。」と伝えるべきだとも思っています。

 

 以上が、手術当日です。長文を読んでくださり、ありがとうございます。

 

 次回は、「入院3日目・術後1日目」を書きます。